日本には「六根清浄」と口で称えながら登山をするという習慣があります。
では「六根」とは何でしょう?。
六根とは六種類の感覚器官のことで、
眼根(げんこん)・耳根(にこん)・鼻根(びこん)
舌根(ぜつこん)・身根(しんこん)・意根(いこん)
のことです。
これらの諸器官を清らかにして、聖なる山に登ることによって無事に登山ができるようにとの願いから、「六根清浄」と称えたり、笠や杖に書いたりしています。
<日本大百科全書(ニッポニカ)>の解説では
六根浄とも略す。「根(こん)」はサンスクリット語のインドリヤの漢訳語で、感覚器官とその器官の有する能力という意味。六根とは、眼根(視覚器官と視覚能力)、耳根(聴覚器官と聴覚能力)、鼻根(嗅覚器官と嗅覚能力)、舌根(味覚器官と味覚能力)、身根(触覚器官と触覚能力)、意根(思惟器官と思惟能力)の6種をいい、この六根が清浄になることを六根清浄という。
仏教では、修行や種々の浄行によってこの六根清浄が得られるとした。
たとえば「法華経」法師功徳品では、「法華経」経典の受持・読誦・解説・書写の行によって、六根のそれぞれが種々の功徳を有して超人的能力を発揮するとともに、清浄となると説かれており、中国天台宗では、これに基づいて六根清浄を仏道修行の進展を示す目安の一つとなし、修行の階梯に六根清浄位という位を設けた。
後世、霊山などに登山する際、金剛杖を携え、「六根清浄」と唱えながら登るのは、それによって登山者の心身が清らかとなり、その功徳によって無事に登山ができるように祈るもので、六根の罪の懺悔を説いた「観普賢菩薩行法経」という経典に基づいている。
[藤井教公]
参考までに「六根」の対象として「六境」があります。
「六境」とは、色境・声境・香境・味境・触境・法境のこと
色境(しききょう)とは、「色彩と形状を含めた形あるもの」の こと
声境(しょうきょう)とは、「言語や音声」のこと
香境(こうきょう)とは、「さまざまな香り」のこと
味境(みきょう)とは、「さまざまな味」のこと
触境(そくきょう)とは、「触れることによってさまざまな感覚を起こす対象」のこと
法境(ほうきょう)とは、「心が思惟するすべての対象」のこと
登山に行かなくても、日常生活の中で「六根清浄」と称えなさいと教えられたことがあります。
日本語には「言霊」があると言われていますが、先人たちは経験や感覚の中で「言葉」が発するエネルギーの強さを知っていました。
祖母から、良くない言葉を発した時などに、おまじないのような言葉を言いなさいと言われたことを思い出しました。
もしかしたら私たちの人生には、自ら発する「言葉」が一番大きな影響を与えているのかもしれません。
だとしたら皆さん、ネガティブな言葉を発するのは止めて、心が前向きになるような言葉を使いましょうよ!。
エネルギーの高い言葉の一つに「ありがとう」があります。
いつも感謝の気持ちを忘れず、「ありがとう」を口癖にしてみませんか。
気づかぬうちに、豊かさを感じる事が増えているとおもいますよ。